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【漫画感想】水は海に向かって流れる / 田島列島

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田島列島著『水は海に向かって流れる』を読了した。

全3巻なので読みやすい分量だった。

早速若干ネタバレするかもしれないけれどいってみようか。

 

チェケラ。

 

水は海に向かって流れる / 田島列島

これはちょっと変わった家に引っ越すことになった熊沢くんという高校生の男の子と、その家に住む親に黙って脱サラしたマンガ家(叔父)、女装の占い師、ヒゲメガネの大学教授、どこか影のある25歳OLが繰り広げるシェアハウスの物語である。

奇妙な共同生活をしていく中で熊沢くんはOLの榊さんが気になり出すけれど…というあらすじ。

 

自分だったらどうしただろうか。

そんなことを考えながら読んでいた。

おそらくこの物語の中で起こったこと、親が残した「罪」に対する答えって千差万別で、そして不正解もなければ正解もなくて。今回の熊沢くんの受け止め方もそれはそれでもう、仕方ないとしか言いようがないもののように思えた。

大人になればなるほど正解も不正解もない場面が多くなっていって、自分がどういう答えを出せるか、自分がその答えに責任を持てるかという点が大事にされるようになってくる。ような気がする。

熊沢くんは高校生の身の上でそういう大人のしち面倒くさいゴタゴタに巻き込まれる。

高校生とか多感な時期に大人の嫌なところを見せられると、グレたくもなる。

 

わかるなぁ。

ここから自分語りが入るけれど、私も高校生の時に親が本当に離婚する瀬戸際まで行った。母親も父親も一言も口を聞かなくなって、その間で私はずっとピリピリした空気に当てられていた。

ある日私は大声で二人を糾弾したけれど、二人とも「相手が悪い」の一点張りで自分が悪いとは微塵も思っていない様子で。私は無力で、何も変えることができなかった。

夫婦のことって、子供も当事者なのに、子供は関係ないみたいな空気で進んでいく。

子供はいつだって巻き込まれて、引っ掻き回されて、傷つけられるだけ。

本当は関係大ありなんだよな。子供だって家族の一員で、自分の頭で考える人間で、二人に巻き込まれる一番の被害者なんだから。

結果、私は家出をして、新潟から神奈川の幸町まで原付で駆け抜けた。

しかし二日目で警察に補導されて家に帰ることになった。

小さな抵抗だった。原付で関東を走り回ったその日だけは、世界がやけにカラフルに見えたのを覚えている。今でもあの那須高原の緑や、横浜のネオンをありありと思い出せる。

 

話は戻るけれど。

それだけ親の行い、親が子供に残すものって絶対的な力を持っていて。それに翻弄された熊沢くんが自分の本当の気持ちに気付いた時はなかなか心にズンっとした酸っぱいものが広がった。 

水は海に向かって流れる コミック 1-3巻セット

水は海に向かって流れる コミック 1-3巻セット

  • 作者:田島列島
  • 発売日: 2020/09/09
  • メディア: コミック
 

物語はなかなか入り組んだ設定が張り巡らされているけれど、そのタッチは優しくてライト。登場人物の描き方も軽妙で、絡みも楽しく、とても読みやすかった。

それにしても自分が主人公だったら、榊さんみたいな雰囲気のOLのお姉さんにちょっと優しくされたらイチコロで惚れちゃうだろうね。

わかる。熊沢少年。

榊さんはジャスティス。

 

とても展開や構想が練られていて、ただただすごかった。

伏線もなかなか巧みで、「あ、ここでそれが活きるんだ」という驚きの連続だったなぁ。

Amazonに試し読みがあるから、絵が好きな人なら読んで損はないと思う。

 

私はこの田島列島さんはお初なので、他の作品も読んでみようと思った。

いやぁ〜新年初漫画、いい物語を読めて私はホクホクです。

 

おすすめです。

 

 

読んでくださりありがとうございました。