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【小説感想】いもーとらいふ<上> が刹那的な生き方に警鐘を鳴らしてくる

入間人間著「いもーとらいふ<上>」読み終えた。

以前Amazonで見かけたから気になっていたこの本、ようやく上巻を読んだで。

 

内容は以下。

 夏休みの終わり。妹が俺に泣きついてきたのは、あちらが六歳で、こちらが十歳のとき。珍しく側に寄ってきた妹の手には日記帳の表紙があった。目が合うとおずおずそれを差し出してきて、「てつだって」と、か細い声でお願いしてくる。俺と妹の関係が始まったのは、その瞬間だと思った。泣き虫で、根性がなくて、ぼーっとしてて、友達もいない、心配で放っておけない存在。――それが妹だった。「わたしのじんせーは、にーさんでほとんどだもん」幼少時代からの成長、そして大人になるなかで選択した人生――。離れられない二人の“一生”を描く、ちょっぴり苦い兄妹ラブコメ。

以上Amazonより引用。

あらすじ書く人ってすげーなー。

こう、上手にネタバレを回避して内容を的確に教えてくれるもんね。

読んだ人間から見ても「あー的確」って思っちゃうもん。

 

なんかねー、この作品は端的に申すとだいぶ歪んでいるね。

はた目から見ると歪んでいる他の何物でもないんだけど、当の本人たちは大変に真っ直ぐな気持ちでお互いを大事に思いやっているし、真っ直ぐな家族愛を続けているんだ。

ただどうしようもなく世間の認識から乖離してしまった関係を続けていて、主人公である”俺”はそういう視線に気づきながらも”それはそれとして”妹のそばにいることを選び続けている。だって、彼にはそれしか無いから。

私ちゃんはこういう薄らぼんやりした薄気味悪さすらある純粋な人間関係(めっちゃ褒めている)が大好物であるんだが、「いもーとらいふ」は本当に薄気味悪さが際立っているね。妹も妹で主人公以外にまったくの興味が無い不思議な人物なんだ。

なんかね、切ないよね。底の底まで信頼できる人なんてそうそういるもんじゃないってのに、その相手が実の兄妹しかいない。この二人は生まれてくる関係を間違えた気さえするよ、私は。

 

などと私がこの兄妹に対し辛辣な評価を下すのは、自分もこうなっていた可能性が十二分にあるところからの危機感、拒否反応なんだと思う。

私にも二つ上の兄がいる。活発で友達の多い兄は幼少期から私にとってのヒーローだった。

中学高校とクラスの人とうまくやっていけなかった兄も、私にとってはヒーローだった。

社会人になった今、お金の管理がだらしなくて定職にもなかなか就けない兄だけど、結局のところそれでも兄は私にとってヒーローだ。

別に兄に逆転復活劇を期待しているわけではない。兄に対し何かしら大きな希望を持っているわけでもない。でも、兄は私にとってのヒーローであることに昔から変わりはないのである。

兄は昔言った。「お前は俺の最後の砦なんだ」と。

兄にとって私がそうであるように、私にとって兄はそんな感じだ。

 

そういう関係性の兄がいるからこそ、「いもーとらいふ」の兄妹のあり方は危機感を感じたってワケ。

私たちはそういう着地点を上手に回避してここまでやってきた。

この”俺”と”妹”の兄妹は二人の関係のあり方にどういう着地点を見出すのか、興味がある。

どこか不気味な関係の二人の物語だが、最後まで見届けようと思う。

 

下巻も張り切って読んじゃうぞ!

Amazon貼っておくかー。

いもーとらいふ (上) (電撃文庫)

いもーとらいふ (上) (電撃文庫)

 

若さゆえの見通しの甘さって言うか、どこか刹那的に生きてしまう主人公はどこへ辿り着くのだろうか……。どこかで楽な方へ楽な方へと流れていく主人公の心情は、色々な人に刺さると思った。

兄妹という関係はそのうち別の道を歩くものであるのが普通だ。

並行した線で進み続ける、ある意味世界の常識に反逆し続けるこの兄妹の行方やいかに……。

 

 

読んでくださりありがとうございました。