優しさ12mg

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【吹き出し劇場】トリ氏と海老名が喧嘩した時の話

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こんばんは、鮫島青葉です。
どういうわけかわからないけれど、何の前触れもなくトリさんが俺のところにやって来たので話を聞くと、なんとお嬢とトリさんが喧嘩をしたそうだ。
それでトリさんが家を追われて俺のところにやって来た。とういうことらしいが、穏やかなお嬢が家族のように仲のいいトリさんを家から追い出すなんて、にわかに信じがたい。

トリ氏クライシス

トリさん、ひょっとして何かやらかしたんスか?

何もないナリよ、鮫島クンだってお兄さんと些細なことで喧嘩することくらいあるナリな

(何もない喧嘩なんてある筈ないんだよなぁ)

ダメじゃないかトリ氏、ちゃんと海老名さんの傍に居てやらないと

何気なーく現れたのは風呂上がりの三四郎だった。
こいつにしては割とまともなことを言っている気はしなくもないが、こいつのことだから多分まぐれだと思う。

で、トリさんは今日家に泊まってくんすか?

それは今悩んでいるところナリ

まぁ一宿の恩義として、ちゃんと今日ここに来た理由を話してもらう事と、お嬢と仲直りすることはセットで付いてきますけどね

それは難しいナリ……

(そんなに深刻なのか)

どうせこのトリのことだから、海老名さんの風呂でも覗いたんだろう

それをするのはどう考えてもお前しかいないだろうと心の中で突っ込みを入れながら、軽やかに無視をして話を続けることにした。
トリさんは所在無げにあちこちをパタパタ飛んだ後、堪忍したのか俺の肩に止まった。

連れて行って欲しいナリ、鳥目だから夜道は飛べないナリ

うん、しゃーないっ! わかりました

あっ待てよ俺も行くぞ!

おめー、おやつ買いにコンビニ行くわけじゃねんだぞ

そんなことは知っている!




本当に大したことじゃないナリ

だったらこんなことになってないでしょうよ




そんな話をしながら結構な距離を歩いて、お嬢の家に着く。
インターホンを押し、モニター越しにいるお嬢の母さんに、お嬢に取り次ぐように言うと、渋々という風にお嬢が出てきた。


鮫島……と、トリ氏

お晩です、お嬢

何しんみりしている、行かないかトリ氏

三四郎にそう促されたトリ氏は何も言わず、また玄関の灯りがあるにもかかわらずお嬢の方に飛ぼうともせず、俺の肩に止まってお嬢を見たままだった。
その視線を受け止めきれないかのように、お嬢は目を逸らし、また時折俺の方をチラリと見る。
何か、どこか異様な空気だった。


鮫島、ちょっといいかな? もっこり三四郎さんとトリ氏はすみません

……頼むなり、もっこり三四郎クン

あ、あぁ




鮫島、こんな遅い時間にトリ氏がごめんね

俺は大丈夫っス。それよりトリさんとお嬢は大丈夫っスか?

大丈夫……かな?

紅葉さん……鮫島のお兄さんは元気?

あ、ああ……兄貴なら元気ッスよ。いや唐突っスね

その兄貴を心配する言葉に俺の心が少しざわついたけど、いつものことだから気にしない。

………………

(妙な沈黙になってしまった。なんなんだ今日のトリさんも、お嬢も)

鮫島は……さ、紅葉さんと喧嘩した時とか、どうやって仲直りしてた?

うちは男兄弟っスからね、参考になんないと思います。殴り合いです。お陰で喧嘩は強くなりましたけど

たはは、本当に参考にならないや。でも、なんか鮫島の家っぽい

まぁ兄貴、嫁さんともガチの殴り合いしてるみたいっスからね

あはは……実はトリ氏の大事にしてたお皿、割っちゃったんだー……殴り合いって言うか、私が殴られないと、いけないよね

唐突ではあるが、ようやく真相が見えて来たな。
お皿は割ったら修正不能だろうし、確かに根深い問題かもしれない。

その時、トリ氏に言われたんだー。私が紅葉さんの事とか、学校の事とか、お母さんの事とか、過ぎたことばっかり気にしてぼーっとしてるから、周りが見えてないんだーって。トリ氏もずっとやきもきしてたのが爆発しちゃったんだろうね…

鮫島、私、どうしたらいいかなぁ……

さぁ。俺は全然お嬢よりガキっスから、よくわかんねーけど。お嬢の目の前には、お嬢が思ってる以上に、お嬢の事を考えてる人間がいたりします

トリさんの言ってることはあながち間違ってないっス

はぁ~~~~、情けないなぁ、私。鮫島にも言われちゃった

俺もやきもきしてる側なんでね……まぁ俺は逃げないっスけど

鮫島……鮫島も何か

内緒

ホラ、帰りましょう、そんで、あとはわかりますね?

うん、ありがとう。やっぱ持つべきものは鮫島だよ!


そう思うなら、俺の事も見て欲しいんだけどな。
とか思ったけど言える筈もなく、俺はトリ氏どころじゃない、チキンなんだなって痛感しながらお嬢を家に送り届けた。
まぁ、今回のことでお嬢がもう少し兄貴以外の人を見るようになればいいんだけど。


帰り道で三四郎と並んで歩く。


すごいじゃないか青葉、ちゃんと仲直りさせるなんて

全然スゴかねーよ

いや、俺の出る幕はもう無いのかも知れないと思ったぞ。海老名さんはいつだって、最後には青葉に頼るんだ

は?

照れるな気持ち悪い


最後に頼るのは俺かぁ……本当にそうなんだろうか。
よくわかんねーけど、お嬢が困った時に一番に駆け付けるのが俺の生きがいなんだろうってのは、思うけどさ。
まぁじっくりですよ。俺もそろそろ、チキンはやめなきゃなー。


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トリ氏


相変わらずキャラを動かしたいだけだった

相変わらずヤマなしオチなしイミなしの三拍子そろった吹き出し劇場だった。
ただ鮫島視点で動かしたかっただけでした。




読んでくださりありがとうございました。